「純粋理性批判」を噛み砕く

『純粋理性批判』を噛み砕く

『純粋理性批判』を噛み砕く

中島さんには、こういう本を着実に書いて出版してほしいなあ(と偉そうに書きますが)。「純粋理性批判」のアンチノミーの箇所を、ねっとりと読み解いていくというオタク的な本だが、そういう速度で解明することではじめてカントの真に言いたかったことが見えてくる、ということだろう。冒頭の箇所をいま読んだが、たいへん興味深かった。1からゼロへの変化を認めるかどうかというあたりの論点は、現在でも哲学的に解けてない問題ではなかろうか。中島さんはカント枠内にとどまるだけでなく、カントの展開という仕事も、時間論、自我論でやってきているから、そのあたりの展開も注目している。