大学入試センターやばくないか?

19、20日とセンター試験の監督で、超重労働をしてきた。リスニング試験は何事もなく終わったが、今回の試験でいちばん驚いたのは、開始直前にセンターから送られてきた「理科総合B」の問題訂正の中身だった。大学入試センターから公開されているので、その訂正を書いておこう。

理科1 理科総合B
訂正箇所 第2問 問7

            誤    正
18ページ 図1  前脚 → 後脚
        図1  後脚 → 前脚

19ページ 3行目 前脚 → 後脚
        4行目 後脚 → 前脚
http://www.dnc.ac.jp/center_exam/20exam/seikai_pdf/20rikasogob_mt.pdf

生物の試験で、設問の核心部分の図の「前脚」と「後脚」を間違えるなんて、ふつうあり得るだろうか? かつ、そのことが試験実施直前まで分からないなんてことが・・。この問題訂正が監督たちに配布されたとき、みんなどよめいていた。(受験生にとっては正解さえ当てればいいのだが、出題した組織にとっては致命的だろう)

大学入試センターは、組織として、やばいんではないのだろうか?

と思って振り返ると、いろいろなことが最近あったことを思い出す。

2005年にはこういうこともありましたね。

15、16の両日行われた大学入試センター試験で、試験問題の一部が漏えいしていた疑惑が浮上した。

インターネット上の大学受験関連掲示板に、初日の英語開始の8時間以上前に、実際の問題と同一の文が書き込まれていた。2日目の国語でも、問題文に使用された小説の作家名が、8時間以上前に書き込まれた。試験後、書き込みが「的中」していることに気付いた複数の受験生が「問題流出か」とネット上で指摘している。”偶然”の可能性はゼロではないが、センター試験の信頼を揺るがしかねない事態となっている。


 センター試験英語問題を予告するともとれる書き込みが行われたのは、15日午前1時7分。大型掲示板「2ちゃんねる」の大学受験コーナーに「こにちは パットの弟ケヴィンです!!」というスレッドが立った。本文には片仮名で「ヘローマイネムイズケヴィン ナイストゥーミーチュー」とだけ書かれていた。

 当初意味不明だったが、同日午前9時半から同10時50分まで行われた本番の英語問題の「第6問」の長文読解問題に、この書き込みと同じ名前の人物が主人公「Kevin(ケヴィン)」として登場。また「my name is Kevin」という個所もあった。「パット」は過去のセンター入試英語問題に登場したことがある名という。
http://blog.kansai.com/aimy/35より孫引き)

スレッドが立つというのは、よっぽどのことなので、内部関係者ではという憶測は消えなかったはず。

そして昨年3月には、「大学入試センター43歳係長 26歳の元恋人刺殺」という衝撃事件があった。

6日午後7時10分ごろ、東京・渋谷区にある国立オリンピック記念青少年総合センターの1階ロビーで、非常勤職員の山田美香さん(26)=千葉県船橋市=が包丁で刺される事件が起きた。警視庁代々木署は同日、殺人未遂の現行犯で、交際相手だった大学入試センター係長・小沢健二容疑者(43)=横浜市西区=を逮捕。山田さんは7日未明に死亡した。別れ話のもつれから、惨劇に発展したと見られる。

 凶行は、代々木公園の木立に囲まれた建物で起こった。青少年総合センターによると、人事課に所属していた山田さんは6日午後7時過ぎ、勤務を終え、同じ人事課の上司2人と建物前の広場を歩いているとき、待ち伏せしていたらしい小沢容疑者が、背後から襲ってきたという。

 「スーツ姿で、カバンの中にしまっていたのか包丁を取り出し、ウォーッと奇声を上げていたようです」と、同センター職員。一度は上司ともみ合った小沢容疑者は、刃渡り18センチの包丁を手に、逃げる山田さんを追って棟内へ入った。上司が「警察、警察!」と叫び、ロビーに駆け込んだときは、山田さんに馬乗りになった小沢容疑者が「山田、許さないぞ」「殺してやる」と言いながら、太ももを包丁で刺していた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070308-OHT1T00094.htm

そして昨年末の12月に、こういう事件もあった。

大学入試センターは14日、来年1月に行われるセンター試験の問題の一部を差し替える、と発表した。問題作成者である大学教員の私物パソコンなどがセンターの外で盗まれ、データの中に、問題を検討する際に作った資料が入っていた。この資料から問題の内容が類推される恐れがあるため、センターは複数の問題の差し替えを決めた。問題の差し替えは、1990年度にセンター試験が始まって以来初めて。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200712140212.html

このくらい立て続けに重大事件が起きるというのは、いったいどういうことなのだろう。組織のモラルが低下すると、あちこちで同時にほころびが出るようになる。

ふと思ったのだが、上の記事には、今回のセンター試験の複数の問題が12月に急遽差し替えられたと書いてある。試験開始1カ月前に新しい問題を作るのは不可能だから、そういうときに備えて、予備の問題を準備しておくのが普通である。だが、予備の問題というのは、どうしても内容チェックが甘くなりがちである。ということは、今回の問題訂正の「前脚、後脚」の問題は、予備の問題の差し替えなのではないだろうかと推測できる。直前に差し替えが決まったものだから、内容チェックがきちんと行なわれてなかったというわけだ。

まあ、しかし、もし差し替えに伴うドタバタでチェックミスが生じた、ということじゃなかったとしたら、通常状態でこういうミスが起きているわけで、大学入試センター、かなりやばくないですか?