基礎 英文問題精講

基礎英文問題精講 3訂版

基礎英文問題精講 3訂版

大学生の頃に英語をきちんと勉強しなかったつけが、研究者になってから一気に回ってきている者として、大学生・院生のみなさんには英語や諸外国語をきちんと勉強し続けることを強力におすすめしなければならない。

このところ、海外の学会やミーティングで英語で発表してディスカッションする機会が増えているが、私の英語力ではたいへんおぼつかないので、暇を見て英語の勉強を続けている。海外での招待講演が今年は2個もあるので、あせっています。研究者になると、読むことよりも、話せること、書けることが重要になってくる。よい学習書を探していたのだが、意外なところで好著を見つけた。それがこの本である。言わずとしれた大学受験英語の名著?である。受験界では、古風な英語に満ちた時代遅れの参考書という扱いをきっと受けているのであろう(それはある意味正しい)が、私のような学問界にいて英語を勉強しようという者にとっては、これはすばらしい名著であると言える。だって、私たちの読み書き話す英語は、こういう古風な英語を含むものだからである。ディスカッションで「not so much --- as」がすぐに分からないと、議論についていけないのである(参照 http://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&q=%22is+not+so+much+a+*+as+a%22&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=&as_ylo=&as_vis=0)。受験英語を馬鹿にしてはいけない。

この本は、掲載されている英文が、実際に大学入試にこれまで出たものに限られているから、信頼性に問題はない。3日間くらいで全部読んでみたが、なかなか格調高い英語ばかりである。この英語を英文解釈するのは大学受験生にまかせておいて、私たちはこの英語を「しゃべれる」「書ける」ようにすればいいのだと思う。ジュンク堂の学参コーナーに入り浸っていろいろ見てみたが、最近の英語参考書は、われわれの時代とは異なって、とてもレベルが上がっている。社会人や研究者も、そのまま使えると思われる。もちろん大学院受験を考えている学部生は、これらの本で英語を思い出すべし。

と言っても、現に受験勉強している高校生や、学部生には、まだいまいちこの本の良さが分からないかも。私たちのようにいちおう年期だけは入っていて、すでに大量の英文は読んでいる(が英語力はついていない)者が読むと、ほんとうにその良さが分かるはずである。もし私が学部生のときにこの本を読んだとしてもあまりその良さは分かっていなかっただろう。

これを踏まえつつ、英語帝国主義批判をもやっていくのがクールであろう。

まあ、英語参考書の世界が「ネイティブ信仰」に陥っているのは今後変えていってもらいたいところではある。実際にわれわれが英語を使う機会は、圧倒的に、非ネイティブとの会話だからである。だからネイティブしか使わないイディオムは覚えなくてよい、ということだろう。それよりも、各国英語のなまりに慣れる教材がもっと必要。国際学会でジャパニーズイングリッシュを聴くに、なんて分かりやすい聴きやすい英語!と思ってしまう私としては。

追記:この本に収録されている英文は時代的なこともあってジェンダーセンシティブではないことは記しておきたい。