草食男子・なぜ男からプロポーズしないといけないのか?

前エントリーで触れたように、この7月に『草食系男子の恋愛学』という本を出すのだが、その関連で、いろいろネットを調べている。まず、驚いたのは、gooの「「検索で知るコトバ」週間ランキング」に、「草食男子」が4位で入っているということである。

http://ranking.goo.ne.jp/ranking/001/keyweek_kenkoto/ 6月7日現在)

4月にNONNOで特集され、5月にはMiniで記事になったからということだろう。が、なかなかみなさん敏感に反応するワードであるようだ。

「草食男子」について最近いろいろな女性と話をすることが多いが、女性たちの反応は非常に鋭敏である。いちばん多い反応は、「そうそう、そういう男の子、最近身近に増えたように思う!」というもの。その次は、(ちいさな声で)「実は、私はそういう子のほうが好き」というもの。どうも、男は肉食系で力強く、しっかりしていたほうがよい、という共同幻想が、はがれ落ち始めているようである。これはとてもよいことだ。私の本も、そういった「草食系男子」の恋愛を応援する本だから、もっともっと草食男子への肯定的な認知が社会的にあがったほうがよいと思う。前にも紹介したような「きっこのブログ」(http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/11/post_f4d0.html)みたいな意見は死滅していくべきだし、font-da氏(http://d.hatena.ne.jp/font-da/20080602/1212417906)のような世界が拡大していくべきだと思う。

こういう、男子の「草食化」に対しては、きっとこれから強大なバックラッシュが吹き荒れることになるだろう。そのバックラッシュは、左右関係なく、右のオヤジ(日本男子はやっぱり強くたくましくないとな!)からも、左オヤジ(反権力!と言いながら人前でタバコすぱすぱ吸ってる肉食野郎)からもやってくるだろう。と同時に、「草食化はフェミニズムの策謀だ!」と言ってくるアレな人たちからも来るだろう。と同時に、「男はもっとしっかりしてくれないと困るわ」と言ってくる女性たちも多いだろう。

それらに対して、草食系男子たちが正面から立ち向かえるかどうか、私にはわからない。だが、私個人はそれらの勢力に対して微力ながらも最後まで抵抗していきたいと思っている。

Yahooニュースに、「プロポーズできない男」急増中というニュースが載っていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000631-bark-musi
この記事は、たいした記事ではないが、言われていることはほんとうなのかもしれない。だが、「だからなんだよ?」と言いたくなる。そもそも、どうして「男のほうからプロポーズしないといけないのか?」という疑問がある。別の調査によれば、女性の9割以上は、男性からプロポーズしてほしいと思っているとのことだ。「男のほうからプロポーズするのが当然」とか「自分からプロポーズもできないような男とはつきあいたくない」とか思っている女性たちに、意識を変えていってほしいと私は思っている。もちろん女性たちがそのように思っている背景には、社会の中のジェンダー体制があって、そのせいでもって「女性がそういうふうに思いこまされている」のだから女性を責めるのはおかしい、というフェミニズムからの指摘もあるだろう。しかし、これから徐々にそのジェンダー体制を変えていくことはできるはずだ。ただそのためには、バックラッシュ男たちだけではなくて、約9割の女性たちと戦わなくてはいけなくなるわけだが。

上記の私の本でも、プロポーズの問題は触れた。9割の女性がそう思っている以上、いまの世の中で女性とつきあうためには、男性からプロポーズできるようになったほうが実践的にはよい選択肢である。ただしそれと同時に、このような体制それ自体を男女ふたりでゆっくりと考え直していくことを、私は勧めたいと思う。もっともっと長い将来のためにね。