『無能力批評』杉田俊介

無能力批評―労働と生存のエチカ

無能力批評―労働と生存のエチカ

杉田俊介の新刊『無能力批評』を読み始めている。前作、『フリーターにとって「自由」とは何か』も刺激的だったが、この新著もなかなかの刺激作である。タイトルに「批評」とあるとおり、主に作品批評という道を通りながら、「現代」というものを貫こうとしている。単に、作品や作家の位置づけをしてよしとするのではなくて、それを突破しながら、壁を突破するときの自分自身の困惑や逡巡というものを自己言及的に見ていこうとしているところに興味を惹かれる。

多数の作品、作家、学者に言及しているが、海外の著名な現代思想家たちに混じって、というかそれよりも比重高く、青い芝の会、ウーマンリブ、立岩、森岡、大澤、東、そして多くのマンガ家たちが取り上げられているのが面白い。たぶん杉田は、現行のアカデミズムではできないような種類の思索を試みようとしているのだろう。本人の意図とは無関係に、そういうものが目指されているように感じる。

それと、ネット(というかhatena村)批評をどうするのか、というあたりのことも考えさせられるのであった。

と、パラパラ読んだ段階での感想。これからちゃんと読みます。

(追記:杉田さんは『寄生獣』と『デビルマン』のどちらのほうが好きなんだろうか)