『草食系男子の恋愛学』という本を出します。

森岡正博草食系男子の恋愛学』(メディアファクトリー、定価1050円)という本を2008年7月に出しました。その後、「草食系男子」という言葉がメディアでどんどん広がっていって、2009年には流行語になりました。

草食系男子とは、「新世代の優しい男性のことで、異性をがつがつと求める肉食系ではない。異性と肩を並べて優しく草を食べることを願う、草食系の男性のこと」だと、本の中では書きました。基本的に心が優しく、自分の欲望をがつがつ押していくのが苦手で、傷つくことと相手を傷つけることが苦手で、性欲や恋愛願望はあるが、それほど積極的ではないという感じの男性でしょうね。上記の本の表紙にいるような男子をイメージしてみたらいいかも。そんな「草食系男子」のことを知りたい女性の方は、この本を読むと、草食系男子が何を考えているのか、恋愛において何に悩んでいるのかが手に取るように分かるかもしれません。草食系男子を好きになってしまった女性はぜひ読んでみて、草食系男子との恋愛の進め方を考えてみてはいかがでしょうか。また男性読者がこの本を読めば、女性を傷つけないようなやり方で恋愛を進めていくにはどうしたらいいかが分かることでしょう。

草食系男子についてはwikipediaも参考になります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%89%E9%A3%9F%E7%B3%BB%E7%94%B7%E5%AD%90

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いままでは、女性向けには「恋愛論」、男性向けには「モテ本」というのが出版業界の常識でしたが、それを打ち破って、「男子向けの恋愛本」というものを出します。「たくさんの女性からモテモテになりたい」という肉食系ではなく、「好きな一人の女性との恋愛を成功させたい」という草食系の男子の恋愛を応援する本になりました。

「草食系男子」というキーワードは、編集部の議論の中で出てきたものです。がつがつと異性を求めるのではなく、異性と肩を並べてやさしく草を食べるという雰囲気の男子のことです。春の女性誌でも、草食男子ということが大きく取り上げられていましたが、私の書いていた本も、ちょうどそのコンセプトに当てはまるものでした。(草食系男子とは何かという定義は、社会的にまだ定まっていません。これから徐々に輪郭がはっきりしてくるのでしょう)。

内容としては、恋愛についての蘊蓄を並べるのではなく、実際に実用として使えるものにしました。昨年に本の原稿を書き上げてから、数多くの若い女性や男性の方々に読んでもらって、間違っているところは正してもらい、付け加えの要望なども出してもらって、時間をかけて書き直しました。

その結果として、なかなかユニークな本になったと思います。

読書メーター>に掲載された100本以上の読者レビューより、最近のものをいくつか紹介しておきます。

http://book.akahoshitakuya.com/b/4840123764

女性側の心理で読んだら「こんな風に気遣ってくれる男性がいたらなんて素敵なのかしら」と思えるようなジェントルな内容の一冊。しかし男性側の心理で読んだら「女ってなんてめんどくさいんだ」ととらえることも出来る。ここで述べられているアプローチとしては女性側にとって失礼を感じないのでお勧めできるのではないかと(女性的な立場で)述べることが出来るが、同時にどこか男性側の苦労を垣間見た気もした。個人的にも人間二人のやりとりに大切なのは誠実さであると心から思う笑

モテるための小手先のテクニックではなく、人に誠実に接すること、自分の弱さを受け入れることなどの大切さを再確認させてくれる本。自分の欠点ばかり気にするのではなくまずは相手とちゃんと向き合うこと。2章は自分では気付けないことが多く勉強になりました。エピローグでの筆者の姿は、自分と重なるところもあって身に染みるものがあった。暗い青春にも意味がある。その中で得たものを知りそれをゆっくり磨いていていこう。

この人いいなぁ。こんな大人になりたい。「女性は妊娠する」この事実だけでも、いろいろ連想できるんだなぁ。女性が読んだら、どんな感想になるんだろう。気になる

女子ですが、身につまされることが多かったです。相手の立場に立って、真剣に向き合い、理解しようとつとめること。恋愛だけじゃない、人生の基本です。簡単だよね。なのにどうしてみんな三大欲求の一つがからむとそんなにわかりにくくなってしまうのか。もっとおちつこう。 一応この本は男子に向けた恋愛本なので女子を理解するための注意事項なんかが書いてあります。すごくいいです。説明しにくいからなかなかわかってもらえないけど、わかってくれないと困る所がばっちりのってます。 彼氏がこの本を読んでいてくれたらすごく嬉しい。

以下が「はじめに」の全文です。

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草食系男子の恋愛学』「はじめに」全文

私はなぜこの本を書くのか 

男の大きな勘違い

 私がなぜこの本を書こうとしているのか、少しだけ語っておきたい。
 私が若いころ、好きな女性にデートを申し込んでも、常に振られていた。
 その女性の姿が目に入っただけで心臓がどきどきし、勉強しているときでも、気がついたらぼんやりとその女性のことを考えているのだが、しかし、どうすれば彼女に気に入ってもらえるのか分からなかったし、どうやってデートに誘えばいいのかもまったく分からなかった。それが私の青春時代である。
 昔のことを思うたびに、タイムマシンに乗って時間をさかのぼり、若いときの自分に向かって、「そんなときは、こういうふうに言ってあげればいいのに」とか、「そういうことをしてはいけないよ」などと言ってあげたい気持ちになる。
 私は自分に劣等感をもっていた。
 背が低く、もやしのようなひょろひょろの身体をしていて、他人の目を見て話をすることができず、日常会話や雑談をするのも苦手で、アパートの部屋にひとりで閉じこもっていた。中学・高校のときにもデートをしたことはなく、思春期に身近にいた女性は、母親だけであった。大学生になって、合コンにたびたび行くのだが、女の子と話が盛り上がることはけっしてなく、いつも最後は男たちだけで飲みに行くのであった。
 私の中で、劣等感がしだいにふくれあがり、それはどす黒いかたまりとなって、心の底でうごめいた。「自分はモテる」と自慢している男のことを冷ややかな目で眺め、小さな殺意に似た気持ちが湧きあがることさえあった。
 そのときの私は、大きな勘違いをしていた。
 モテるためには、顔が良くないといけないし、体格も立派でなくてはならないと思っていた。もし容姿が恵まれていないのだったら、スポーツで一目置かれるようになるか、あるいは金持ちか有名人になるしかないと思っていた。そして、そのどれにもなれそうにない自分のことを、絶望していたのである。
 要するに、若いときの私は、「私が他人よりも劣っているから、そのせいでモテなくなっている」という考え方が大きな間違いであることを、まったく知らなかったのだ(これについては第三章で詳しく述べる)。
 不思議なことであるが、この本にこれから書いていくことを、私はその後の恋愛経験によって発見していったわけではない。むしろ、人々の悩みを聴いたり、エゴとエゴがぶつかるような大げんかをしたり、冷たい裏切りに出会ったりしながら、人間の愛情や寂しさについて理解していったのだと思う。
 だから、ひとことで言えば、好きな女性に振り向いてもらうには、生身の人間の心の動きについて知ることが必要なのである。
 私は長い歳月をかけて、少しずつ人間のことを知っていった。
 だが、私はもう壮年期を迎えている。恋愛が人生の最重要課題だった時代はすでに終わっているのである。私は若い男に向かって、壮年期まで待てとは言えない。もし若いときに、恋愛面での的確なアドバイスをしてくれる人がいたら、どんなにか良かっただろうと、いまになって思う。そのような気持ちが、この本の執筆に私を向かわせたのである。
 世の中には、モテる男になるための本が、たくさん出版されている。インターネットのサイトにも、そのような内容のものがたくさんある。それらを調べてみて、私はとても暗い気持ちになった。なぜなら、いかにすれば数多くの女性とセックスできるかを説明するものや、単に女性の側のわがままを並べるものが目立ったからである。
 好きな女性に振り向いてほしいと切実に願う男たちが、それらの本やサイトを熱心に読んだとしても、ほとんど役に立たないだろうと私は思った。女性の心理を解説する本のなかには、好感の持てるものもあったが、しかしそれらは単にエピソードを並べただけであって、人が人を好きになる心理の奥底にあるものに迫っているとは思えなかった。

好きな女性に振り向いてもらうために

 恋愛をしてみたいのだけれども、好きな女性に振り向いてもらうために具体的に何をすればよいのか分からないし、そもそも女性がどんなことを考えているのかよく分からない、という男性は少なくないはずだ。
 私も、そのような悩みを持った男であった。そのときのことを、いまひとつずつ思い出しながら、かつての私のような悩みをかかえているであろうそれらの男性たちに向かって、私は書いていこうと思う。
 この本で私が述べるのは、これ以上ないほど初歩的なことだ。
 すなわち、
「好きな女性に振り向いてもらうには、どうしたらいいのか」
「好きな女性に声をかけるときには、どうしたらいいのか」
「好きな女性とデートをするときには、何に気をつけたらいいのか」
ということである。
 なぜなら、これこそが、男たちが最初につまづく箇所だからである。
 そしてここには、男たちが陥りやすい危険な落とし穴が、たくさん仕掛けられている。その落とし穴に陥ることなく、好きな女性との恋愛を楽しく進めていくための基本中の基本を、この本ではまずじっくりと考えていきたい。
 そしてそのあとで、
「女性の身になって考えるとは、どういうことか」
「女性から見て魅力ある人間になるには、どうすればよいのか」
という根本問題について、できるだけ分かりやすく述べていきたい。
 たとえ顔に自信がなくても、たとえ他人より能力が劣っていたとしても、あなただけにしかない人間性を深めることによって、あなたは好きな女性から振り向いてもらえる人間へと変わっていくことができる。つきつめていけば、結局のところ、多くの女性は、好意を寄せてきてくれる男性の人間性に、自分自身を賭けようとするからである。
 すでに彼女のいる男性が読んでも、本書はきっと役立つはずだ。というのも、好きな女性に振り向いてもらうための方法は、まさに、いまつき合っている女性との恋愛を長続きさせる方法でもあるからだ。つき合っている女性には、たえずやさしくし、彼女のことをこれからもずっと大切にしていこう。
 また、私と同世代の男性が、パートナーとの関係をより良いものにしていくための実践的な参考書として、本書を使うこともできるだろう。

恋愛の切実な問いに答える

 いまの世の中は、恋愛が苦手な男たちにとって、ほんとうに生きにくい。
 テレビを見ても、雑誌を見ても、恋愛できない男は、一人前の人間じゃないかのように扱われている。
 このような、「恋愛できない若者はどこかおかしい」と言わんばかりの風潮に、いらだちを感じている読者も多いのではないだろうか。
 私もまた、この風潮は、どこかおかしいと思っている。「恋愛できない男は、男の名に値しない」という考え方はまったく間違っている。このことは、はっきりと書いておきたい。
 そのうえで、私は次のようなこともまた思うのだ。
 もし仮に、若いときの私に、年長者が、「恋愛できなくてもいいんだよ、人間の価値は恋愛で決まるわけではないのだから」と言ってきたとしても、私はその言葉をまったく聞かなかっただろうということである。
 なぜなら、自分の身体の底から湧き上がってくる、「恋人が欲しい」「恋愛したい」という切実な声を押さえきることは、けっしてできなかったはずだからだ。「好きな女性に振り向いてほしい」「恋愛したいのに、うまくいかない」というひりひりした痛みの前では、そのような理屈は、もののみごとに吹き飛んでしまっていたに違いないからだ。
 私はこの本で、そのような切実な声に答えたいと思う。
 若いときの私と同じように、恋愛に悩み、つらい気持ちをかかえている優しい男性たちに向かって、私はこの本を書いていきたい。
 自分の経験を振り返りながら、あるいは経験豊富な友人たちの声を参考にしながら、恋愛の問いに対して、ひとつずつていねいに答えていきたい。女性の心理や性について書いた箇所は、原稿段階で、数多くの女性にチェックしてもらったから、大きな間違いは正されているはずである。
 この本は、不特定多数の女性からモテモテになる方法を教えるものではない。また、「女を落とすテクニック」を教えるものでもない。この本は、あなたの好きなひとりの女性から振り向いてもらえるようになるためのいくつかのヒントを、あなたに伝えるためのものである。本書が少しでも役立つことができたなら、私はほんとうにうれしい。
恋愛することによって、人は、ひとりではけっして味わえないような、しみじみとした幸せな経験を、好きな人とのあいだで分かち合うことができる。「出会えて本当によかった」という気持ちを、二人で共有できるのである。私は、この本を通じて、そのことを何度も語っていくことになるだろう。

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以上です。

みなさん、いろいろおっしゃりたいこともあるでしょう。

たとえば、「結局、精神論ではないのか?」「結局、恋愛強者による上から目線の説教本ではないのか?」「モテないやつは何をしてもモテないだろう?」などなど。

第1章以降をお読みいただければ、それらについても内容が分かると思われます。ですがこれ以上はネットで公開するわけにはいきませんので、刊行時に本書を手にとって確認してみてください。

ということで、追加情報は、おいおい掲載していきます。