ニクラス・ルーマン『社会の法』1・2

社会の法〈1〉 (叢書・ウニベルシタス)

社会の法〈1〉 (叢書・ウニベルシタス)

社会の法〈2〉 (叢書・ウニベルシタス)

社会の法〈2〉 (叢書・ウニベルシタス)

ルーマンの大著である。ルーマンは第2部の最後のほうで「免疫システム」について書いている。

法システムを、開かれた未来を全体社会のなかへと導き入れるとともに、それを拘束しもする流儀と様式であると見なすとしよう。そのとき法システムは、全体社会の<免疫システム>として把握されうることになる。・・・・免疫システムは、環境についての知見なしでやっていく。それが記録するのは、内的なコンフリクトのみである。そして折に触れて生じてくるコンフリクトに対して、一般化されうる解決策を組み立てていく。つまり、未来の諸事業のための剰余能力を備えることになるわけだ。免疫システムは、環境を探索する代わりに、自分自身に関する経験を一般化するのである。その経験が、攪乱の徴として働いてくれる。攪乱源自体は未知であり続けるにもかかわらず、である。・・・・免疫システムの働きは、攪乱を修正することにではなく、構造的リスクを緩和することにある。・・・・むしろ免疫システムを通して全体社会が、コンフリクトの恒常的再生産という、構造的に条件づけられたリスクと折り合っていけるようになるということのほうが重要である。免疫システムが(機能していくために)必要とするのは、単に環境に適応するということではない。むしろそうした適応を放棄したことから生じる帰結こそが、必要なのである。(715−718頁)

こういう世界観というか社会観を持っているというのは、ルーマンはかなりの変態ですな。