ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む

ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む

ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む

衰退久しいと言われている日本仏教の世界で、社会の穴ぼこで苦しんでいる人々に働きかけている仏教者たちをルポした本である。

たとえば、宮城県の行持院の真壁太隆さんのやっている駆け込み寺はどんな人でも無条件に迎え入れる。収入のない人には月5000円が渡される。いつまでいてもいい。真壁さんは、駆け込んできた人に、そのわけを一切聞かず、完全に信頼して住処を提供する。信頼された人たちは、その信頼を裏切らないように自分に言い聞かせ、やがてアパートへと移っていくという。団体生活は自主管理している。真壁さんは自分の自営業の稼ぎを寺に使い、ボランティアたちの手を借りながら運営する。この運営自体が布施行だという。こういう人たちの行なう仏教というのは、本物のように思える。お金と引き替えに戒名を与えるような仏教者とは対局にあるのだろう。