ハンス・ヨーナス「アウシュヴィッツ以後の神」

アウシュヴィッツ以後の神 (叢書・ウニベルシタス)

アウシュヴィッツ以後の神 (叢書・ウニベルシタス)

ヨーナスの3本の論文をまとめた書物の翻訳である。アウシュヴィッツという経験に整合的な神概念の探求がここでのテーマとなっている。ユダヤ人の哲学者で、生命の哲学の探究者が、いかなる提言をしているのか一読の価値はあるだろう。訳者である品川哲彦さんによる「ハンス・ヨーナスの生涯」が付されていて、資料的にも貴重である。いずれにせよ、ハイデガーの異端の「弟子」であり、アーレントの盟友であったヨーナスは引き続き注目すべきだ。