Kristin Zeilerの脳死多元論肯定論文

Bioethics誌最新号に、Kristin Zeilerという人が、米国ニュージャージー州法と、日本の旧・臓器移植法を取り上げて、この二つに見られる「死の多元主義脳死とともに心臓死も認める)」を肯定的に評価する論文を発表している。こういう内容が掲載されたことは、軽い驚きがある。内容は、われわれが日本で議論してきたことを超えてはいないが、ロールズ多元主義についての議論を参照した点は面白いかと思う。日本の旧・移植法改正については、私の英語論文から多くの情報を得ている模様である。1990年代から欧米で始まった、脳死概念再考の流れの中に位置付く論文だと言える。しかし、今年7月に日本の臓器移植法が改正されて、単純には多元主義とは言えなくなったことは皮肉だ。この著者はその情報を得ているだろうか。

Kristin Zeiler, "Deadly Pluralism?: Why Death-Concept, Death-definition, Death-criterion and Death-test pluralism should be allowed, even though it Creates Some Problems" Bioethics Vol.23, No.8, (2009):450-459.