閉塞感のある社会で生きたいように生きる

閉塞感のある社会で生きたいように生きる

閉塞感のある社会で生きたいように生きる

シューレ大学での試みを、当事者の学生たちがまとめた本。なかでも、「自分研究」と名付けられた手法は、なかなか興味深いものがある。この自分の生に徹底的にこだわった学問とはどのような形を取るのか、というのが、私の生命学の問題意識でもあったが、それに通底するものを感じる。ほかにも「当事者研究」という呼び名でやっている人たちもいるが、こういう方法論をいちど突き詰めてみるのがいいと私は思っている。将来に向けた研究領域になるはずである。自分研究−当事者研究−生命学。

本書に収められた、平井渚「私からはじまる研究」は、みずからの摂食障害を振り返ることで、自分研究の方法をまとめたものである。研究によってもたらされる自己変容と気づきをていねいに追っていて、可能性を感じる。