環境倫理学・決定版

環境倫理学

環境倫理学

環境倫理学の決定版テキストが東大出版会より刊行されました。これはいまの日本の環境倫理学の最高の執筆陣による、画期的な教科書です。鬼頭さんの人脈とこれまでのクローズド研究会の蓄積の結実と言えるでしょう。私も第1章を書いています。大学で使えるテキストとして、ぜひご利用ください。

〈人間vs.自然〉では環境問題は解決できない.「自然」「生命」「精神」などの象徴的なテーマから,「持続可能性」「外来生物」,そして「地球温暖化」など現代の地球環境問題まで,すべての二項対立図式を超えて,私たちがこれから豊かに生きていくための環境倫理の新しい地平を拓く!

主要目次
序章 環境倫理の現在――二項対立図式を超えて(鬼頭秀一)
第I部 環境倫理が語れること
1 人間・自然――「自然を守る」とはなにを守ることか(森岡正博
2 自然・人為――都市と人工物の倫理(吉永明弘)
3 生命・殺生――肉食の倫理,菜食の論理(白水士郎)
4 公害・正義――「環境」から切り捨てられたもの/者(丸山徳次)
5 責任・未来――世代間倫理の行方(蔵田伸雄)
6 精神・豊かさ――生きものと人がともに育む豊かさ(福永真弓)
第II部 環境倫理のまなざしと現場
7 「外来対在来」を問う――地域社会のなかの外来種(立澤史郎)
8 「持続可能性」を問う――「持続可能な」野生動物保護管理の政治と倫理(安田章人)
9 「文化の対立」を問う――捕鯨問題の「二項対立」を超えて(佐久間淳子)
10 「自然の再生」を問う――環境倫理歴史認識(瀬戸口明久)
11 「地球に優しい」を問う――自然エネルギーと自然「保護」の隘路(丸山康司)
Box1 野生復帰を問う−野生復帰において人はどこまで操作可能か(池田 啓)
Box2 政策からこぼれ落ちるローカル知――ウチダザリガニと人間の環境問題(二宮咲子) 
第III部 環境倫理から生まれる政策 
12 家庭から社会へ――持続可能な社会に続く道を地球温暖化問題から考える(井上有一)
13 知識から知慧へ――土着的知識と科学的知識をつなぐレジデント型研究機関(佐藤 哲)
14 政策から政/祭へ――熟議型市民政治とローカルな共的管理の対立を乗り越えるために(富田涼都)
15 安全から危険へ――生態リスク管理予防原則をめぐって(松田裕之)
16 制御から管理へ――包括的ウェルネスの思想(桑子敏雄)
終章 恵みも禍も――豊かに生きるための環境倫理(鬼頭秀一)
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-062311-7.html

なによりも、英米環境倫理学の紹介、というスタイルを取ってないところ、現場を知る研究者が数多く執筆しているところが、類書と異なる特徴でしょう。