柳原和子さんが亡くなった

ノンフィクション作家の柳原和子さんが3月2日に亡くなったことを、つい最近知った。ご冥福をお祈りします。

柳原さんと最初にお会いしたのは、たしか、20年ほど前の印刷所の校正室だった。当時私は「中央公論」誌でたまに書かせてもらっていて、そのときも、原稿のぎりぎりの手直しをするために、市ヶ谷の大日本印刷まで夜中に行って校正していたのだった。そのときに、校正室で椅子の上に正座していたのが柳原さんだった。そのことは、なにか印象的でよく覚えている。

2度目にお会いしたのは、たしか大阪の朝日新聞社ではないかと思う。がんについての対談で、その内容は、柳原さん編集の『がん患者学』に収められている。彼女自身、がんだということで、けっこう真剣な対談になったように記憶している。その後も、『がん患者学』関連のことで何度かお手紙をいただいた。

朝日新聞』の訃報欄に、写真が掲載されていた。よい表情で、なにかこちらまで安堵した。

がん患者学〈1〉長期生存患者たちに学ぶ (中公文庫)

がん患者学〈1〉長期生存患者たちに学ぶ (中公文庫)

がん患者学〈2〉専門家との対話・闘病の記録 (中公文庫)

がん患者学〈2〉専門家との対話・闘病の記録 (中公文庫)