グローバリゼーション再読

訳あって、グローバリゼーションについて頭の中を整理するために、読書中。そもそも経済学は私の弱点なので、この方面も少しずつ強化していかないといけない。下記の2冊は、反・ネオリベ・グローバリゼーションの立場から書かれた概説書で、そのスタンスさえ理解していれば、分かりやすい見取り図を与えてくれると思う。

グローバリズム (21世紀の若者たちへ)

グローバリズム (21世紀の若者たちへ)

グローバリゼーションとはなにか (こぶしフォーラム)

グローバリゼーションとはなにか (こぶしフォーラム)

国籍を内在させながらグローバルに利益を求めて運動する多国籍企業によって、資本が瞬時に移動し、規制緩和によるある種の富の流入をある地域にもたらしながら、当該地域システムを破壊し、圧倒的な格差社会をもたらすことになった元凶だということか。その運動を支える動因が何かということが、哲学者としてはいちばん気になる。

しかし、スティグリッツの本など読むたびに、IMFとは実際のところ何なのだろうという疑問が浮かぶ。IMF側からの申し開きをしている本は何を読めばいいのだろうか。

Globalization and Its Discontents

Globalization and Its Discontents

この本は英語で途中まで読んでいた。実体験に基づく話はなかなか迫力ある。

世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す

世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す

これが近著の邦訳だが、グローバリゼーションの趨勢そのものは不可避だとしつつ、「見えざる手」を信奉するネオリベ・グローバリゼーションは否定する。規制緩和による結果的被害を回避できそうな東アジアと、IMFの言うとおりに従った(従わされた)結果地獄に堕ちたラテンアメリカ、アフリカを、はっきりと区別している。そして、グローバリゼーションをまともなものにするためにも、二重基準を都合良く使い分ける米国に対して、きびしい批判を行なっている。

この本の日本語版への序文で、米国のサブプライムローン危機の可能性について言及しているところは、いまとなってはさすがという感じがする。