子どもが「長期脳死」にならないことを判定する脳死基準が必要だろう

朝日新聞が、小児科学会の検討委員会設置について報じている。

 脳死判定基準のほか、脳死状態にならないための小児救急医療態勢の整備、家族のケアのあり方などを議論する。人工呼吸器を着けて在宅療養している重症障害児は脳死とは異なるが、脳死と混同されやすく、こうした子どもたちが適切な医療を受ける権利についても話し合う。衆院で可決された臓器移植法改正A案に盛り込まれている親族への優先的提供の是非も議論する予定。 (太字森岡
http://www.asahi.com/special/zokiishoku/TKY200906210155.html

上記の太字の部分は、問題発言ではないか。日本では現行法の縛りがあるから、「法的脳死判定(無呼吸テスト含む)」をされた小児は存在しない。(法的脳死判定外で無呼吸テストを実施された小児はいるが)。上を読むと、いま「長期脳死」と言って話題になっている小児は、「ほんとうは脳死ではない」と揶揄しているように読める。これは問題である。もう一度言うが、日本では、法的な次元での「本当の」(臨床的ではない)脳死判定を、15歳未満に行なうことはできない。だから、日本には、15歳未満の「本当の」「法的脳死判定された」脳死の子どもは存在していない。ややこしい話だが、重要ポイントなので押さえておいてほしい。

いずれにせよ、小児の法的脳死判定を日本で実施するのなら、「この判定基準を厳密に満たしたら、通常の集中治療ケア下で、将来ぜったいに長期脳死にはならない」ということが前向きに確証できる「長期脳死判定基準」あるいは「短期脳死判定基準」を作成すべきである。子ども脳死臨調では、ここに議論を集中させなくてはならない。虐待脳死だけを議論して、終わり、ということにしてはならない。(前向きとは、疫学などでいう前向き研究のようなこと。もっと良いタームがあったら教えてください)