個室ビデオ放火現場の光景

今日大学の帰りに難波に立ち寄る機会があった。その所用先から目と鼻の先に、例の、個室ビデオ放火現場のビルがあった。夜だったが、前の道にはほとんど人がいなかった。通りがかりのサラリーマンたちが、立ち止まって青いビニールシートで覆われたビルの一階を見ていた。私は現場の前の道を通ってみた。現場の両脇には警察官が立っていて、その向かい側には、メディア関係者と思われる人々が10名ほど立っていた。男性記者たちが、座って、ノートパソコンに何かを打ち込んでいた。意外なほど、整然とした、清潔な空間だった。焼けこげの臭いもなく、不思議な静寂だった。キーボードの音が、はっきりと聞こえた。現場を少し離れたところに、予約車と書かれたタクシーが2台止まっていた。その向こうに、黒塗りのハイヤーが1台止まっていた。角を曲がったところに黒塗りがさらに2台止まっていた。それらは新聞社の車だろう。現場の隣のビルでは、焼鳥屋がもう営業を始めていた。角を曲がると、個室ビデオが煌々と営業していた。角の屋台でサラリーマンがおいしそうにラーメンをすすっていた。マックの店外席では若者たちが雑談し、緩い空気が流れていた。レンタルビデオ屋は明るくにぎわい、信長書店は妖しく光っていた。ここで多くの方々のいのちが奪われた。