ヒロシマは特別なのか?という問い

なんか、ずっと気になっているので、簡単に書いておきたい。ちょっとまえに、広島で行なわれた某国際会議で、戦争について議論していたときに、あるアラブ系の国から来た学者が、「広島はほんとうに特別なのか?」と発言した。「広島では数多くの人々が死んだというが、ドレスデン空襲で、その他の都市で、同じかそれ以上の人々が死んだ。広島のことを特別視する傾向があるが、どこが特別なのか」と。その後、会合はちょっと荒れたが、しかしこの問いへの正面からの答えはなかった。私の頭には、被爆後遺症の問題、環境汚染の問題、核戦争への扉を開いたという問題、などが浮かんだが、しかし前2者は他の空爆その他の被害者についても言えることだろうし、最後のものは、象徴的な問題に過ぎないようにも思える(最初の核爆弾攻撃と、最初の空爆と、どっちが特別なのか。一瞬で、と、一晩でと、どっちが特別なのか)。被爆による遺伝子へのダメージが子孫に引き継がれていくかもしれないという点は、空爆一般とは違うように思ったが、しかし広島の特別性というのはそれだけなのだろうか? この問いはいままでも繰り返されてきたもののように思うが、でもどう考えればいいのだろうか。またそれについて、日本現代史を知らない外国人にどうやって伝えたらいいのだろうか。「どこが特別なのか」という問いの立て方それ自体が問題なのだ、というような学者然として答え方で、伝わっていくものなのだろうか。