『家族という意志』芹沢俊介

家族という意志――よるべなき時代を生きる (岩波新書)

家族という意志――よるべなき時代を生きる (岩波新書)

芹沢さんの新刊書き下ろし。寝たきりになった母について:「無音になった母の横に座ってみてわかったことの二つ目は、音声を発せられなくなったにもかかわらず、「無音という状態」において母の内界は生き生きと動いているという事実である。その生き生きとした内界を感じたとき、無音は音であり、言葉であることを知った。母の無音状態が死に向かう過程であることは動かしがたい事実だ。しかし同時に独立したいのちの相の表出であることも私には確からしく思われるのだった」(140ページ)。ここに学びがある。