「量子力学の哲学」森田邦久

量子力学の哲学――非実在性・非局所性・粒子と波の二重性 (講談社現代新書)

量子力学の哲学――非実在性・非局所性・粒子と波の二重性 (講談社現代新書)

量子力学の古典的な観測問題から始まって、その後の展開を、哲学的な側面から追究した好著。冒頭に書かれている例の量子の世界では情報は光速よりも早く伝わるかというあたりの説明は非常にわかりやすい。問題の本質がよく理解できたし、同時にそれらの解釈についていろんな根源的疑問も浮かんだ。(巨視的世界の場合に、カードの裏側模様が移動中にころころ変わることはない、という仮定がなぜ暗黙の前提になっているのかとか)。日本に量子論の哲学の専門家が数人!いるということも初めて知った。勁草書房から論文集が出るらしいし、この際勉強しておこう。時間論、外部世界論を詰めるためには必須である。良い本であるし、この著者はこれからも良い本を書いていくであろう。