移植を待つ親は、子が脳死になったら臓器を出すか?

あしたの採決の前に、書いておきます。

もし仮にA案、A’案が通ったとしたら、これまで子どもの移植を訴えてきた親の方々は、つらい状況に追い込まれるのではないでしょうか。

それは、移植を待っているあいだに、不運にも、子どもが脳死になってしまった、あるいは心臓死になってしまったときに、親は脳死・心臓死の子どもから臓器を摘出して移植し差し出すかどうかを問われることになる、ということです。(いまはそういうことは日本では生じません)

このとき、

・ 親には、脳死・心臓死になった子どもから臓器を摘出する法的義務はありません。

これは確かなことです。

問題となるのは、

・ 親は、自分の子どもには臓器をくださいと言っていたのだから、自分の子どもが脳死・心臓死になったときには、自分の子どもから臓器を摘出して差し出す、道義的義務があるのかどうか?

という点です。言い換えれば、

・ 「うちの子どもに臓器をください!」と言っていた親が、自分の子どもが脳死・心臓死になったときに「うちの子どもの臓器はあげませんから」と言ったとしても、それはまったく道義的に問題はない、ということになるのかどうか?

ということです。(心臓死後でも、角膜、腎臓は摘出できます)

この問題を、A案、A’案が通ったら、親は引き受けないといけない状況になります。これはかなりやっかいな問題です。みなさんはどう思いますか?

子どもからの臓器移植というのは、本来こういう種類の問題なのです。物言わぬ1歳の心臓病のレシピエント候補もまた、死ねば(脳死になれば)ドナー候補となるのです。これがA案の切り開いていく世界なのです。

参考エントリー(さらに重要なこと):
http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090708/1247014793