「生命の哲学」の可能性を考えるat応用哲学会,京都大学
4月に京都大学で開催される応用哲学会第1回の会合で、品川哲彦氏と一緒に、「「生命の哲学」の可能性を考える」というワークショップを開催します。約2時間で、ディスカッション中心にする予定です。関心ある方は、会員でなくても参加できるので、顔を出してみると面白いかもしれません。
応用哲学会のプログラム全体はここからダウンロードできます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jacap/index.html
「生命の哲学」WSの案内文は以下です。
2009年4月26日 応用哲学会にて
ワークショップ「「生命の哲学」の可能性を考える」森岡正博・品川哲彦
10:00〜12:00 会場2 (京都大学文学部新館)応用哲学会 ワークショップ
タイトル「「生命の哲学」の可能性を考える」
オーガナイザー:(1)森岡正博(大阪府立大学、哲学・倫理学、会員)
(2)品川哲彦(関西大学、哲学・倫理学、会員)生命倫理学は、医療倫理を中心とした学際領域として制度化された。その有益性は疑うべくもないが、しかし生命倫理学という枠組みでは、「生命とは何か?」「人間の死とは何か?」「身体とテクノロジーの関係性とは?」といった哲学的な問題を掘り下げることが難しくなっている。他方で、生命や自然に関する哲学的研究は、哲学史や比較思想の分野で長く行なわれてきたが、それが現代の生命をめぐる諸問題と正面から切り結ぶ光景はほとんど見られることがなかったと言ってよいだろう。
われわれは、「生命の哲学」というジャンルを創設することによって、生命をめぐる現代的・先端的な問題を正面から哲学的に考察するとともに、伝統的な哲学思想がそれらの哲学的考察にいかに寄与できるかという点をも同時に議論したいと考えている。過去の資産を最大限に活用しながら、現代の生命をめぐる諸問題を、いまここでリアルに哲学するような学問の場所を作りたいのである。
また「生命の哲学」においては、人間の生命の諸相だけではなく、人間が他の「生き物」と共有しているであろう「生命」なるもの、あるいは人間と自然との関わりのあり方なども重要な生命の問いとして扱われることになるだろう。この点が、「生命の哲学」の特色になると思われる。
ところで、「生命の哲学」というジャンルは、世界的に見ても本格的には存在していないようである。英語でphilosophy of lifeと言えば、個人的な人生哲学か、あるいは生物の哲学の意味になる。哲学百科事典等にも項目はない。ヨーロッパでは生の哲学があるが、それは19世紀から20世紀にかけての一流派を指すのみである。「生命」をめぐる諸問題を共時的・通時的に広く哲学的に議論する場としての「生命の哲学」を、ここで提唱してみる意義は大いにあると思われる。
「生命の哲学」については、森岡を中心として2007年より大阪府立大学大学院にて予備的な連続研究会を開催している。その成果として、森岡・居永・吉本「生命の哲学の構築に向けて(1)」(2008)が刊行されている(http://www.lifestudies.org/jp/philosophylife01.htm)。
今回のワークショップでは、「生命の哲学」というジャンルは果たして成立するのか、もし成立するのならそれは具体的に何をどのように議論することになるのか、という点を中心に自由な意見交換を行ないたいと考えている。品川は、人間の身体・生命の倫理的位置づけについて提題し、森岡は生命の哲学の方法論について提題する予定である。それを受けて、新ジャンルとしての「生命の哲学」の可能性について意見交換できればと思う。(本ワークショップに関するご質問やお問い合わせは、www.lifestudies.orgの電子メールフォームから、森岡までメールをお送りください)
なお、15時から、以下のシンポが行なわれます。
京都大学文学部新館第三講義室
15:00 - 18:00公開シンポジウム 「これが応用哲学だ!」
パネリスト 伊勢田哲治(京都大学)
茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所)
森岡正博(大阪府立大学)
司会 戸田山和久(名古屋大学)