草食系男子は非モテか、性欲あるのか?

草食系男子の恋愛学

草食系男子の恋愛学

*検索で来てくださったみなさんへ。このエントリーは、2008年7月13日に書いたものです。『草食系男子の恋愛学』は、このエントリー直後に発売されました。「草食系男子」については、5月のエントリー
http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20080531/1212235032
も、併せてご覧ください。(ここまで2009年2月18日追記)

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草食系男子の恋愛学』がそろそろ刊行されるが、刊行後にいろいろ議論されるであろうことについても、そろそろ考えておかないといけないかな。

まず、kanjinai自身は「草食系男子」なのか?という点について。そうだなあ、草食系男子になりたい男という感じかもしれない(おっさんを男子と呼ぶかという問題はこのさい問わない)。たぶん、草食系男子は、「根っからの草食系男子」と「草食系男子になりたい男子」の二種類があるように思う。「根っからの草食系男子」は、もうそもそもがつがつしてないというか、淡泊で優しい男子のことである。これに対して、「草食系男子になりたい男子」というのは、いま現在はそうではないが、自分の希望として「草食系」になりたいと希望し、願望している男子のことである。私は後者であろう。

自分の生育歴を振り返って見ても、10代は草食系男子であった。しかしながら、『感じない男』にも書いたが、大学に入って、女の子と恋愛できるようになりたいと思って、肉食化を自らに課してしまった。だが、その後、アイデンティティ・クライシスを経験し、その後は、再草食化を願望するようになる。20代の私の間違いは、女の子と恋愛するためには肉食化しなければならないと信じていた点にある。今度の本は、それは間違いだということを、若い人たちに知らせるために書かれた。

次の点。草食系男子に性欲はないのか? その答えは、おそらく、草食化と性欲のあいだには相関関係はほぼない、ということだろう。私が草食系男子だった10代、私は性欲の塊だった。だがそれを生身の女の子に向かって発揮することはできなかった。だから外から見たら、当時の私には性欲があまりないように見えたかもしれない。草食系男子にも性欲はある(ない人もいる)。だが、女の子との関係性を壊したり、女の子を傷つけたり、自分が恥ずかしい目にあったりしてまで、自分の性欲を発揮したいとは思っていないということなのだろう。やっぱり基本的に、心根は「優しい」んだろう。

次の点。草食系男子は非モテなのか? これはたぶんhatena村がいちばん燃えて議論するテーマだろうから、私からはとくに言うべきことはないが、とりあえず、このふたつもまた相関関係はないというふうに私は思う。「モテない」という屈折した意識を内面化して自分の人格の一部としている人間・状態を非モテと仮に呼ぶのならば、それは草食系男子にも、肉食系男子にも、見られるはずである。もし非モテの草食系男子が、恋愛をうまく進めていきたいのならば、まずは屈折した自己意識(劣等感)を自己解体することである。これについては本に書いたので見てほしい(「はじめに」も読んでみては)。(もちろん恋愛至上主義は解体すべきこと前提で)。

ウェブでは、草食(系)男子とは恋愛・性愛に消極的でがつがつしない、というふうなとらえ方がされているようだ。だいたいはそんな感じでいいかなと思うが、私はそれに加えて、「相手の女の子や、自分自身を、性的なアプローチによって傷つけたくない」という思いが強い男子、というのを強調してみたいと思う。草食系男子は、やっぱり、根は優しいんだ。草食系男子にもっと肯定的な光を当てたい。男性たちは、もっともっと草食化していい。