村上隆フィギュアは射精感覚の肯定か?

村上隆の男性型フィギュア作品が、16億で売れたらしい。Yahoo!ニュースなどでは、フィギュアの上半身の写真のみが掲載されている。しかしその写真の白いロープはどこから出てるの?と疑問に思った方も多かったのではないか。全身像は、たとえば、このURLで見ることができる(性的なので視聴は注意すること)。
http://image.blog.livedoor.jp/guideline/imgs/c/b/cb540919.jpg
(左の方)

村上隆の"アート"を私は基本的に評価しないが、この作品だけは、結果的な批評性において面白いと思った。端的に言うと、このフィギュアの全身の姿勢と表情は、射精の自己肯定感覚を表現している。しかしそれは、私が『感じない男』で書いたように、実際に男にはおそらくほとんどの場合に訪れることのない感覚なのである。君たちは、こういう表情で、ここまで誇らかに射精しているか? してないでしょう。このフィギュアは、みずからが「感じない男」であることを隠蔽しようとする男性権力に対する、反語としての批評である。その点においてのみこの作品はアート性を持っていると私は思う。(ちなみに、男性のことを分かっていない一部フェミニストは、男性にとって射精とは、すべからくこのフィギュアのような自己肯定的なものだ、というふうに誤認していると私は思う)。