「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」?
上記に引き続き、一部で話題になっていた新海誠の短編アニメ『ほしのこえ』と『秒速5センチメートル』を観た。
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なにかしら言いたいことがあるのはよくわかる。それを表現しようと努力しているのもわかる。だが、脚本力が決定的に欠けているから、物語をどう落ち着けたらいいのか分からない。そこが、この人の最大の弱みだろう。『ほしのこえ』のラストは、「エヴァ後」にそれはないだろう!というものだし、『秒速5センチメートル』第3話(最終話)に至っては、「ミュージックビデオ??」ということになってしまっている。
両作品とも基本的には「学校萌え」(『感じない男』)で、「ほしのこえ」はシリウスまでずっと少女は学校制服を着たままだし、「秒速・・・」では、小学校から高校までの、夕日の当たる教室、蝉の声、学校の帰り道、などなどを延々回想しているだけという趣である。ひとことで言えば「男ユーミン」である。シーンも、どっかで観たようなものが多いし。
ところで、新海誠は、NHKの1分ムービーの『猫の集会』の作者でもあるということを、検索によって知った。実は、この作品は非常によくできていて、きわめてすぐれていると思っていたのであった。
新海氏には面識もないし、利害関係もないので、こんなに言いたい放題だが、たしかに技術的には非常に優れたものを持っているわけだから、もっと脚本をきちんと書けるようになって、壮大な話のオチをちゃんとつけられるようになって、観るものに真のカタルシスをもたらす作品を作ってほしい。『ほしのこえ』の着想はすぐれているのだから、ラストをごまかすのではなくて、その着想を正面から「受け止める」ことのできるドラマ性を獲得してほしいと草葉の陰から思った次第である。